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Colostomy UK(英国コロストミー協会)のリビー・ハーバートCEOと
日本オストミー協会(JOA)の坂本純会長の対談



要約
JOAの坂本会長は2025年6月にJOA会長に就任。
直腸がん手術でストーマを造設し協会に参加、支部長を経て組織改革のため会長就任を決意した。
金融界での経験を活かし、現在はガバナンスと財政基盤の強化、全国的な災害対応体制の構築に注力。
ストーマへの社会的認知の低さや自治体間の支援格差、若年層の孤立が課題であり、魅力ある活動発信を通じてQOL向上と理解促進を目指している。
【日本語訳文】
24ページの東京都在住、中島小百合さんの「Real Lives(実話)」ストーリーに続き、Colostomy UKのCEOであるリビー・ハーバートが、日本の主要なストーマ団体を運営するとはどういうことかを知るため、カウンターパートである日本オストミー協会(JOA)の会長、坂本純氏に話を伺った。
リビー: JOAを率いてどのくらいになりますか?
坂本会長: 2025年6月に就任しました。
リビー: 最初に協会に関わるようになったきっかけ、そしてリーダーになろうと思った動機は何ですか?
坂本会長: 私は直腸がんの手術を受け、2017年6月にストーマを造設しました。当時、ネットで患者会を検索して日本オストミー協会を見つけ、神奈川県の川崎市支部に参加しました。しかし、最初に参加した支部のイベント(健康相談会)があまり魅力的に感じられず、しばらくは距離を置いていました。
それから約2年後、支部役員を引き受け、最終的に支部長になりました。会員が時間とお金を使ってイベントに参加するなら、それに見合う価値があるものでなければならないと感じたのです。もっと楽しめる活動を企画するよう努めたところ、参加者が増え始めました。その後、2025年1月初旬にJOA本部の代表理事・副会長から会長就任の打診を受けました。状況の切迫感を感じ取り、断ることができませんでした。
リビー: JOAは組織としてどのような構成になっていますか?
坂本会長: JOAはもともと各都道府県の患者団体(約50支部)を中心に結成され、2011年に日本政府から正式に公益社団法人として認定されました。しかし、当時はガバナンス体制が十分に確立されておらず、その課題の一部は今日まで残っています。本来なら各地方支部が保有する資金は中央で管理されるべきでしたが、本部と支部の資金が別々に管理され続けていたのです。日本中のオストメイトに安定した支援を提供し、生活の質(QOL)を向上させたいのであれば、ガバナンスと内部統制の強化は不可欠です。私が会長職を依頼されたのは、キャリアの大半を金融業界で過ごしてきたことも理由の一つだと思います。
リビー: JOAには何名のスタッフやボランティアがいますか?
坂本会長: 現在、本部には2名のパートタイムスタッフがいます。全支部のボランティアの正確な人数を把握するのは難しいですね。
リビー: JOAの主な活動は何ですか?
坂本会長: 私たちの主な活動は、全国の支部が定期的に開催している健康相談会や講習会です。これらは、オストメイトとその家族にQOLを支える実用的な情報を提供し、「居場所」を提供するものです。
リビー: 今日の日本のストーマコミュニティのメンバーが直面している最大の課題は何だと思いますか?
坂本会長: ストーマ対応トイレは全国で見られるようになりましたが、ストーマに対する認知度は依然としてかなり低いです。これは、ストーマが見えない障害であることや、日本社会が外見や自分の見え方を重視する傾向があるためかもしれません。もう一つの課題は、日本のストーマケアが(英国のNHSのように)医療制度の下ではなく、福祉制度の下にあることです。つまり、ストーマ装具の給付(補助)は各自治体によって決定されるため、住んでいる場所によって財源に大きなばらつきが生じてしまいます。一種の「郵便番号ガチャ(住所による運不運)」のようなものです。また、日本は地震などの自然災害が起きやすい国です。そうした危機が発生した際、混乱した状況下で多くの自治体と調整しなければならないため、オストメイトの支援はさらに難しくなります。
これに対処するため、JOAはすべての自治体で展開できる全国的な緊急対応システムの構築を進めています。これには、自治体の災害用備蓄倉庫に標準的なストーマ用品キットを保管し、必要なときに迅速に配布できるようにすることも含まれています。
リビー: JOAの最大の功績は何だとお考えですか?
坂本会長: 私たちの最大の功績は、国や地方自治体に働きかけ、ストーマ装具や関連製品の給付制度(日常生活用具給付等事業)を確立することに成功したことです。
リビー: 会長として最もやりがいを感じた瞬間はどんな時でしたか?
坂本会長: 私が会長になる前は、本部から支部への積極的なコミュニケーションがほとんどありませんでした。その結果、支部は本部が長期的な財政難と深刻な資金不足に直面していることを知りませんでした。そこで10月(2025年)、私は全国の各ブロック(各ブロックは約6つの支部で構成)を訪問し、組織の現状を正直に伝え、今後の協力を仰ぎました。最もやりがいを感じたのは、会員たちが当初の戸惑いを乗り越えて本部と協力し始め、組織を安定させるために助けたいという真摯な思いを示してくれたのを見た時です。
リビー: 今後5年間のJOAの優先事項は何ですか?
坂本会長: 私の優先事項は、組織の財政基盤を強化し、将来のビジョンを明確にすることです。私たちの活動をもっと積極的に発信することで、JOAの認知度を高め、会員数を増やし、最終的にはオストメイトのQOL向上につなげたいと考えています。
リビー: 日本におけるストーマに対する一般市民の認識は、他国と比べてどうですか?
坂本会長: 他国との比較をあまり行っていないので断定はできませんが、認識は低いと感じています。先ほども触れたように、日本でのストーマケアは継続的な公衆衛生の問題としてではなく、福祉制度の中で「日常生活の延長」として扱われています。実際には、手術から回復した後は、ストーマ関連の感染症などの医学的な問題が発生しない限り、継続的なサポートはほとんどありません。介護を受けているオストメイト(例えば多くの高齢者)は、介護保険の対象となり特定のサービスを受けられる場合があります。しかし、支援を受けられないそれ以外のオストメイトはギャップを感じています。特に若いオストメイトは、アドバイスを求められる場所が非常に少ないのです。特に若い世代のために、地域に根ざした強力なサポート体制を構築することが急務だと感じています。
リビー: 変えていこうと取り組んでいる、ストーマに関する文化的態度や誤解はありますか?
坂本会長: 日本社会は「縦割り構造」を前提としており、それがコミュニティグループ間に明確な分断を生んでいます。例えば、「健常者」と「障害者」という概念の間には高い壁が存在することがあります。誰かが「障害者」と見なされた途端、双方が引いてしまうことがあります。時には障害を持つ当事者が最も引いてしまうこともあります。ですから、最初から単に「オストメイトとは何か」を説明するだけでは、会話はあまり前に進みません。その代わりに、誰もが楽しめる魅力的なイベントを作り、異なる人々を結びつけるべきです。「このイベントを企画したのは誰?」と聞かれたときに、「実はオストメイトなんだ」と分かる、それが認知度を高める自然な入り口になります。これは私が会長になってから、ある若いオストメイトが教えてくれた視点です。

東京在住エイリアン
ロス・オーセン=リーヴス
(イギリス人アーティストStingの名曲「Englishman in New York」の歌詞から




【要約】
東京在住の中島小百合さんは、腸管子宮内膜症をきっかけに2016年からストーマと共に生きる。
再手術の末、現在は閉鎖せず生活を選択。
制度面では支援が整う日本だが、社会の認知や言葉の問題による偏見は根強いと感じている。
自身のストーマを「お腹のエイリアン」と表現。
夫の支えを得て、ウェブ発信やワークショップ、JOAや英国団体との連携を通じて理解促進とオストメイトの自尊心向上に取り組んでいる。
【日本語訳文】
東京在住エイリアン
ロス・オーセン=リーヴス
(イギリス人アーティストStingの名曲「Englishman in New York」の歌詞から)
個性的でクリエイティブ、そしてユニークな中島小百合さんは、故郷である東京で、ストーマ(人工肛門・人工膀胱)への受容と理解を広める活動をしている。今回彼女は、日本におけるオストメイト(ストーマ保有者)としての生活と、どのようして予期せずお腹の上に「地球外生命体」を抱えることになったのか、その経緯を語ってくれた。
「はじめまして!」ビデオ通話がつながると、ユリは熱心に声を上げた。その完璧なアメリカ英語のアクセントに私は不意を突かれた。ユリは日本人だが、マサチューセッツ州ボストンへの留学経験があり、そこでアメリカ東海岸の英語を習得したのだ。彼女の語学の才能は、歌手向けの英語発音コーチというフリーランスのキャリアにもつながっている。また、音楽教科書の翻訳や、海外のジャズボーカリストや金管楽器奏者のための講義、マスタークラス、インタビューの通訳などを地元東京で行っている。
それは実にドラマチックな経歴のように聞こえ、彼女の大らかで一風変わった人柄にぴったりだと私は感じた。ストーマと暮らすことについてどう感じているか尋ねたとき、彼女の遊び心あふれるユニークな世界観が明らかになった。
「エイリアンがおへそから生えてきた感じ?」彼女は甲高い声で、目を丸くしてそう言った。まるでそのアイデアを半分信じ込んでいるかのようだ。「変な生き物が、勝手に私の中に居候したような感じ。別に憎らしくはないです、そこまで迷惑もかけてこないし。でも、時々面倒なことを言います。私の言うことを聞かなくて、勝手気ままに振る舞うので」
ユリはこのエイリアンと、2016年に腸管子宮内膜症(子宮内膜に似た組織が腸管など子宮以外の場所で増殖する病気)と診断されて以来、断続的に同居している。この病気のため、彼女は結腸の一部を切除し、一時的なコロストミー(人工肛門)造設手術を受けた。
同年には閉鎖手術(ストーマを閉じて元の肛門に戻す手術)に成功したが、すぐに直腸膣瘻(RVF)という問題に直面することになった。これは大腸と膣の間に異常なトンネルができ、「出るべきではない場所から便が出てきてしまう」状態だと、ユリは言葉を選びながら説明してくれた。
医師たちは彼女に2つの選択肢を提示した。1つ目は、ユリの言葉を借りれば「アクロバティックな」複雑でリスクの高い手術だ。「瘻孔(ろうこう)を塞ぐための大きな手術を受けることもできたけれど、衝撃的で痛そうな響きでした。しかも成功率は五分五分で、状態を安定させるために追加の手術が必要になる可能性もありました」
もう1つの選択肢は、単純に再び一時的なストーマに戻すことだった。ユリにとって、それは迷うまでもないことだった。彼女は再びストーマ造設手術を受けることを選んだ。夫のシュウヘイがこの計画を全面的に支持してくれたことも、決断を容易にした。二人はユリの健康問題を共に乗り越えてきており、彼自身もストーマの方が彼女にとって良い選択だと信じる理由があったのだ。
実際、彼は最初、ユリ自身よりも彼女の最初のストーマを受け入れていた。「子宮内膜症が発覚してストーマ手術が必要になったとき、私たちは新婚でした。私は打ちのめされました。『彼に愛されなくなってしまうんじゃないか』と不安だったからです。でも、彼よりも私の方が自分のストーマにショックを受けていました」
シュウヘイがこれほど理解を示してくれた理由の一つは、最初の子宮内膜症の手術で合併症が起きたことにあった。
彼女はこう語る。「子宮内膜症自体は命に関わるものではないとされています。でも私の場合、消化器系と婦人科系の患部がひどく癒着していて、当初6時間の予定だった手術が12時間以上もかかってしまったんです。シュウヘイと私の家族は、私が戻ってくるのを待ち続けていました。その長い間、シュウヘイは私を失うかもしれないという恐怖に襲われていたそうです。その緊迫した瞬間、彼は『私がいなくなってしまうくらいなら、どんな姿の私でもいてくれた方がいい』と思ったようです」
それから10年が経ち、ユリは今も「一時的」なはずのストーマと共に生きているが、現在閉鎖する予定はない。協力的な夫の存在が、この決断を容易にしているのは確かだ。また、子宮内膜症を発症するずっと前の子供の頃から、ユリは重度の便秘とそれに伴う痛みを伴う痔に悩まされてきたという事実もある。「ストーマと生きる方が快適なんです。ずっとおしり周りのトラブルを抱えていましたから。ストーマにしたことで、私の人生は劇的に楽で、快適で、コントロールしやすいものになりました」
一考した後、彼女はこう付け加えた。「コントロールできない本来の肛門よりも、ストーマのパウチ(袋)がある方がいいです。ごめんなさい、こういう言葉をどうオブラートに包めばいいか分からなくて!」ユリの清々しいほどの率直さに、私たちは二人して爆笑した。私は『Tidings』(本誌)のために言葉を飾る必要は全くないと彼女に請け合った。
ユリの痛みは完全に消え、ストーマのない生活よりもある生活の方が疑いようもなく好ましいものとなった。しかし、だからといって悪い日がないわけではない。多くのオストメイト同様、彼女も漏れやパウチのバルーニング(ガスで袋が膨らむこと)といった問題に対処しなければならないし、ボディイメージに関するネガティブな感情を抱くこともある。ユリは、日本で暮らしていることがこれらの問題を複雑にしていると言う。
一方で、国レベルでのオストメイト支援という点では、日本は地球上で最も住みやすい場所の一つだとユリは説明する。例えば、日本の健康保険制度は英国のNHS(国民保健サービス)とよく似た機能を持っている。地方自治体が毎月の予算を割り当て、地元のオストメイトのストーマ装具費用をカバーしてくれる。多機能トイレにはオストメイト専用の流し台が設置されており、日本にはオストメイトが見えない障害を周囲に伝えるための専用のマーク(オストメイトマーク)まである。
その一方で、社会全体としては、ストーマを持つ人々を理解し、受け入れるまでにはまだ長い道のりがあるとユリは言う。
「素晴らしい制度は整っているのに、人々の意識がそれに追いついていないんです。だから、オストメイトとして住むには良い国ですが、ストーマとは何かを人々に知ってもらうためには、もっと多くのことをする必要があります」
つまり、日本は政府の取り組みは素晴らしいが、一般市民の間ではストーマへの理解が乏しい国ということだろうか。これは英国の読者にとっても、不思議と馴染みのある話に聞こえるだろうと私はユリに伝えた。結局のところ、私たちの二つの国はそれほど違わないのかもしれない。とはいえ、日本には英国のストーマコミュニティが直面することのない特有の課題がある。それは「言葉」の問題だ。ユリは次のように説明した。
「日本では、『stoma』という言葉は文字通り『人工肛門』と訳されます。これは本当に恐ろしい響きです。他の言葉も使われますが、それらは輸入された外来語です。例えば、私たちは自分たちのことを『オストメイト(Ostomate)』と呼びます。当事者のコミュニティ内では『ストーマ』という言葉を使いますが、他のほとんどの人はそれが何なのか知りません。だから遅かれ早かれ、結局はその直訳(人工肛門)を口にして説明しなければならなくなるんです。それは悲しいことです」
ユリは、ストーマを取り巻く言葉が、スティグマ(偏見)、恥、沈黙という不健全なサイクルを継続させていると考えており、自身の啓発活動を通じてこれに取り組んでいる。もっとも、彼女は自分がストーマのウェルビーイング(幸福)のための提唱者になるとは予想もしていなかった。それは偶然の成り行きだった。友人が、ユリがオストメイトであることを知って驚いたのだ。その友人である医師が、医療雑誌のためにユリにインタビューすることになった。その記事は非常に好評で、ユリは自分の発信がストーマへの理解を深める助けになったことに心を動かされた。
その肯定的な反応が、彼女自身の啓発活動を始めるための動機となった。彼女は自身のウェブサイトでストーマに関する経験を読者と共有し、「Diversity in Digestion(消化の多様性)」というワークショップを開催している。このクラスでは、ストーマ装具会社や販売店から寄付された使用期限切れのパウチや、自作の視覚教材を使ってストーマがどのように、なぜ造設されるのかを説明し、オストメイトにまつわる謎(や偏見)を取り除こうとしている。ワークショップは大成功を収め、ユリは現在、日本語と英語の両方で啓発活動を展開している。
2021年、ユリは日本オストミー協会(JOA)の会員にもなった。JOAはColostomy UK(英国の同様の団体)と同様、50年以上の歴史を持つ組織だ*。入会以来、ユリは坂本純会長と緊密に連携し、組織の会員への貢献を続けながら、若いオストメイトにJOAをアピールする革新的な方法を模索している。これはJOAとColostomy UKのもう一つの共通点だと私は感じた。Colostomy UK(特に本誌『Tidings』)もまた、幅広いオストメイトの多様なニーズのバランスを取ることを目指しているからだ。底知れぬエネルギーを持つユリは、この1年間、Colostomy UKの「アクティブ・オストメイト・ピラティス」のオンラインクラスにも参加している。それ以来、彼女は『Tidings』の熱心な読者となり、Colostomy UKのコミュニティ・リエゾン・オフィサーであるショーナ・アンとも協力を開始した。
彼女の勢いは止まらないようだが、ユリは使命感に燃える女性だ。彼女は簡潔にこう語った。「私は仲間のオストメイトたちに、適切な自尊心を持って、人生を謳歌してほしいんです」。ストーマと共に生きることはユリの人生計画にはなかったが、オストメイトの権利と幸福のために声を上げることは、今や彼女という人間の一部となっている。もし、あの何年も前に招かれざる客としてやってきた、いたずら好きなストーマ「エイリアン」のおかげで、この予期せぬ人生の天職を得ていなかったら、今日のユリはどんな人物になっていただろうかと思わずにはいられない。
* 日本オストミー協会についての詳細は、32ページをご覧ください。坂本氏とColostomy UKのCEO、リビー・ハーバートとの対談が掲載されています。







